2010年12月1日 ”SPACE BATTLESHIP ヤマト” 実写版、公開。
水曜日のロードショーって珍しい(普通は土曜日)。
映画の日なので1,000円で見てきました。
(いろいろ書いてますが、ネタバレはほぼないはずです)
*下の方に”戦艦大和”情報もあります。
-呉の「大和ミュージアム」も面白い-
(映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」制作委員会 山崎貴監督 138分)
※日本人しか乗ってないのは置いといて・・・
アニメの「宇宙戦艦ヤマト」と比べると、評価は分かれると思うが、この作品単体としては良くまとまっていると思います。
スターシャのセリフが意味深長。
アニメ・ヤマトの実写化というより、日本風 ”Battlestar Galactica(新・宇宙空母ギャラクティカ)” という感想。別の新しい作品だと思う (もっとも、アニメの「宇宙空母ブルーノア」とは全然似てない)。
映像はいい。特に、私的には宇宙での艦隊戦シーンなどは高評価です。艦内の各種作業シーンも2199年にしては、2010年の今に近すぎる気がしなくもないが、悪くはないです。つまり、結構リアリティへのこだわりが見てとれます。
ヤマトが地中から発進するところも迫力があって好きです(どうして完全に地下のドックで建造しないの?という点は不問!)。
(コンソールのキーボードが安っぽいのと、乗員が艦内でハンドガンを持ち歩いているのはどうかと思うが。紙の書類がいろいろ出てくるのはご愛嬌でしょう。衣装では、よくアニメの衣装を布地で再現したらピラピラの出来の悪いコスプレみたいで格好悪いことがあるが、この作品はそういうことはなく、クルーが着ているユニフォームが革ジャン風で結構サマになっていたのは感心)
話も長編アニメのヤマトと比べると異論もあると思うけど、この作品単体で見ると、2時間ちょっとの枠の中で良くまとまっていると思います。
私の感情を例えると、トム・クランシーの「レッドオクトーバーを追え」がショーン・コネリー主演で映画化されたのを見たときの様な感覚。手放しで最高!でもないけど、決して悪くはない、という感じです。
内容や各種デザインの方は、「宇宙空母ギャラクティカ」(新・旧両方のシリーズの影響が感じられる)と「インディペンデンス・デイ」を折半(折衷か)したみたいな感じです。特に敵宇宙人とか、艦載機の発進シーンとか、ヘルメットの形とか、空中戦シーンとか、やたらに出てくる敬礼シーンとか、やけに今の時代に近すぎる生活風景とか(最後の二つは新・ギャラクティカで特に顕著)。
「アルマゲドン」に「ディープ・インパクト」、「スター・ウォーズ」(特にクローン・ウォーズとep.1~3)と、「マトリックス」(特にレボリュ-ションズ)もちょっとずつ入ってるかな。滅亡寸前の人類の様子は、やはり「ターミネーター」の影響が強いですね。「スタトレ」シリーズのいくつかの話も影響があるかもしれない(かなりある)。それに、「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド」も少々。
「エイリアン」の特に2もあるかな?「プレデタ―」はさすがにないか。それより「ガメラ2 レギオン襲来」。「ゴジラ」はないです。
(※2011年6月追記 : 原爆・放射能汚染の恐怖という背景設定では最初の「ゴジラ」と「ヤマト」は共通していたが、2011年3月の大震災・原発事故が起きるまでは、社会全体で記憶が薄れていたのでは、と思います。直接関係ないけど「ランボー」のシリーズも第1作はベトナム帰還兵の心の傷を扱っていましたが、2作目以降はほとんどアクションだけの内容になってしまってましたね。「ゴジラ」シリーズも同様な感じです)
それとですねえ、さすがTBS制作でキムタク主演ですから、TVドラマ「GOOD LUCK!」の影響が見られます!(SHIP=航空会社では旅客機のこと:つながりかな (^_^) キムタクは新海パイロット) 堤真一(G.L.!では香田機長)は古代の兄役で出てるし、柴咲コウ(整備士)の役だって考えられなくはないし(新「日本沈没」でも活躍してたし)。黒木メイサだけでなくて、黒木瞳(これは黒木つながり・CA)まで出てたら、映画の雰囲気かわったかも。”操縦桿”を持つのはもちろん航海班長の島大介(緒形直人)ですが。ANAは、実写版には関係してないけど、アニメの方は以前「旅割」のCMに使ってましたね。
総合的に見て、一時期の「スター・ウォーズ」第1作(ep.4)のモノマネみたいなのが流行った頃に比べると、長足の進歩だと思います。
木村拓哉の古代進とか、配役はそれほど違和感なかったです。真田(柳葉敏郎)とか、徳川機関長(西田敏行)とかは、ぴったりはまり役。沖田艦長(山崎努)は貫禄あり。空間騎兵の斉藤始(池内博之)やブラックタイガーの面々もいい味だしてます。
森雪(黒木メイサ)はイメージ違うけど、レーダー手兼看護師(生活班)から、ブラックタイガーのエース・パイロットって設定に変わってるから当然か。この辺もギャラクティカ(の新しい方。韓国系女優グレイス・パーク演じる女性パイロット”ブーマー”が重要な役柄)の影響を感じます。
指揮官と部下の犠牲の問題は、「スタトレ」でも、SF以外のアメリカの軍隊映画でも、よく出てくるテーマですね。「U571」とか旧ソ連の潜水艦が舞台の「K-19」とか。それと、ハンドガンに威力調節機能が付いているのは「スタトレ」のフェイザー銃みたい。
ドクターの佐渡先生(高島礼子)が女医になっていたのは、「スタトレ・ネクストジェネレーション」のドクター・ビバリー・クラッシャーの影響かな?相原も女になってるし。女医の佐渡先生が一升瓶を抱えているところは日本酒のCMみたいだが、銘柄はさすがに「美少年」や「黄桜 呑」ではなかったです(新海いや”荒海”)。
もっとも、スタトレ・シリーズにもヤマトが元ネタ?て話があります(廃艦が決まっているフネに元のクルーが集合。独断で発進させて活躍し、最後はそのフネが・・・という話→例:「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(1978年)と「劇場版スタートレック3 ミスター・スポックを探せ!」(1984年))。話が似てくるのは仕方ないか。
いずれにしろ、古代や森雪は髪が長すぎると思うぞ。戦闘任務なんだから。というか、兵士なら。(迅速にヘルメットをかぶるにも支障があると思う)
それにしても、ヤマトって、宇宙船というより、波動エンジンと波動砲に居住区を取り付けて飛んでいるという気がします(エンジンにコックピットと翼を取り付けただけの様なF86とかMiG15とか、昔のジェット戦闘機を連想してしまった。F86の前の穴は空気取り入れ口だけど。近隣の某国では旧式のMigも現役だし)。
アニメを実写化できるようになったのは、VFX技術とともに、日本映画界のスタッフ・キャストの力が向上し、人材の層が厚くなってきたからだと素直に評価したい(アメリカと逆で映画制作がテレビ局主導なのは微妙なところだが)。
ガミラスのデスラーとイスカンダルのスターシャは、ま、衝撃でしたが、最近はやりの表現ともいえるでしょう(「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」とか「T2」とか、まあ、いろいろ。「未来惑星ザルドス」はでかいツラのとこだけで遡りすぎかな。「スタトレ ディープ・スペース9」のドミニオンなんてのもあった)。
ガミラスとイスカンダルの関係についてのスターシャのセリフは、かなり意味深(コインの裏と表か。世の中そういうことって多いと思う…)。
ガミラス宇宙艦、中でもデスラー艦は「スター・トレック」劇場版最新作のロミュラン艦に似てるような気が・・・。
アニメのヤマトは、相手は異星人でもヒューマノイドの国家と軍隊だったから、後のガンダムに続く人間シリアスドラマのアニメ・ブームの先駆けになったわけですが、この実写版は「スターシップ・トゥルーパーズ」(ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」が原作)の系統(異星人というより異生物を始末・駆除していく話。もっとも、一般には原作のパワード・スーツがガンダムのモビル・スーツの元ネタになったことの方が有名)に鞍替えしたみたいな気がしないでもないです。
そういうわけで、ドメル将軍の雄姿が見られないのは残念。
アナライザーは(S.W.の)R2ユニットに自律マシンにと大活躍(ただし登場時間は短い)。
コスモタイガーゼロは、ちょっぴりマクロスのバルキリーみたい。
アニメ・ヤマトの「さらば」と「S.W. ep4 A New Hope」的流れで、装甲の貧弱な車両で敵中突破を試みるところの描写は「戦国自衛隊」(千葉真一の方)と「ブラック・ホーク・ダウン」風。
スタトレの”転送装置”があればどんな作戦でも便利だけど、話を盛り上げるのはかえって難しくなるかも、ですね。
*以下は、参考情報。主にヤマトより旧海軍の大和などについて。
まずは、亡くなった西崎氏(原作でクレジットされてます)に合掌。
それにしても、ささきいさお氏は今でも若いですな。
アニメのヤマト「復活編」は見てないので分からない。
古代の兄が乗っていた宇宙駆逐艦「ゆきかぜ」の名前は、旧日本海軍で多くの実戦に参加しながら終戦まで生き残った強運の駆逐艦「雪風」からとられてます。
で、「宇宙戦艦ヤマト」や「男たちの大和」「連合艦隊」などの映画のせいで、最近「戦艦大和」ばかり有名になってるが、昔は同型艦の「武蔵」とならべて「戦艦・大和と武蔵」というのが一般的でした。
大和も武蔵も旧国名。今の県名で「戦艦・奈良と埼玉」ではだいぶイメージ変わりますね。まあ、旧国名でも「戦艦・讃岐」(私の地元)では今ひとつですが。アメリカだと州名をつけてました。ニュー・ジャージーとかミズーリとか。
因みに、「戦艦」とは”戦闘艦艇”の略ではなく、あくまで”大艦巨砲の海軍の主力艦”をいいます。ですので、現在は現役の「戦艦」はありません(ミサイルの時代なので)。戦艦が現役で戦ったのは1991年の湾岸戦争でアメリカの「ミズーリ」と「ウィスコンシン」が出動したのが最後です。もちろん、第二次大戦時代のを近代化改修して再利用したものです(イラク軍には海軍はないも同然で、空軍の戦闘機も機体温存のために退避して戦闘に出てきませんでしたので。1982年に勃発したイギリスVSアルゼンチンのフォークランド紛争では、アルゼンチン空軍機が英艦隊に果敢に攻撃を加えたものですが)。
最近のマスコミは軍用艦艇をなんでも戦艦と呼ぶのがいるから要注意です(90年代ころから目立ち始めましたな)。
本物の戦艦大和は、タイタニック号とか、ドイツのビスマルク号と違い、海底でかなりバラバラになって沈んでいるようで悲しい限りです。
大和や軍用艦艇については広島県呉市の「大和ミュージアム」(呉市海事歴史科学館:戦艦大和の大型模型のほか、ゼロ戦や特殊潜航艇の展示もある)と、すぐ近くの「てつのくじら館」(海自呉史料館・潜水艦の博物館。ど~んと陸上に潜水艦が鎮座しています)は一見の価値あり。
また「アレイからすこじま公園」では、海自呉基地の停泊中の潜水艦をすぐ近くでみることができます。基地を一般公開していることもあるので、機会があればぜひ見に行ってください。
今年8月29日には大和ミュージアム姉妹館として、漫画家の松本零士さんの作品を集めた「ヤマトギャラリー零(ZERO)」もオープンしたとのことです。
*写真正面の潜水艦が「てつのくじら館」で左の建物が「大和ミュージアム」です。
レンガの広場に見えているのが、戦艦「陸奥」(「長門」の同型艦)の主砲身・スクリューなど(全部実物)で、以前は館内の零式戦闘機などとともに、今はなき京都の嵐山美術館(昔の武具と第二次大戦時の旧日本軍の装備を展示していた美術館)にありました。日本では、いろいろな事情で兵器の博物館は維持が難しいようです。
NHKドラマ「坂の上の雲」(司馬遼太郎原作)で話題の、「記念艦・三笠」(横須賀市)もいいですね。横須賀では、横須賀本港のヴェルニー公園から海自横須賀地方総監部や米海軍横須賀基地の艦船が近くで見られ、「軍港めぐり」という有料遊覧船も出ています。こちらの基地も一般公開されることがあります。
自衛隊関係では佐世保に「海自佐世保史料館・セイルタワー」、浜松市に「空自広報館・エアパーク」、朝霞市に「陸自広報センター・りっくんランド」などがあります。
民間でも、各務原市とか入間、所沢、成田などに航空博物館や航空公園があり、「かかみがはら航空宇宙科学博物館」は松本零士さんが名誉館長です。
船の博物館も全国各地にあり、(財)日本海事科学振興財団の「海と船の博物館ネットワーク」HPなどで見つけることができます。
横須賀や呉や佐世保、舞鶴など旧海軍基地周辺を回ってカレーや肉じゃが、ハンバーガーなど、海軍関連グルメを楽しむのも面白いと思います。
・・・公開初日早朝のTBSラジオでは既に”大ヒット上映中”といってたぞ。前売りが好調だったのかな ^_^;
*以下にも参加しています。
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