BR:「三教指帰」(さんごうしいき)
■ Book Review
タイトル:三教指帰(さんごうしいき)
著 者:空海 著 加藤純隆・加藤精一 訳
出版社:角川書店 (角川ソフィア文庫:ビギナーズ 日本の思想)
若き日の空海が儒教・道教・仏教を比較。物語風に自らの進路を示す
また堅い話で恐縮ですが…。
キリストについて「ジーザス・クライスト・スーパースター」と言うことがアメリカのエンタメなどでよくありますが、まあ、讃岐の人間にとっては「弘法大師(空海)・ウルトラ・スーパースター」なのは間違いのないところで、その弘法大師が若いころ(唐に留学する前)に書いたのが本書です。
空海が仏教へと進むまでの精神遍歴を書いた内容とのことで、以前から興味はあったのですが、最近(といっても3年以上前だけど)現代語訳が文庫で出ていたのを見つけたので、近頃ようやく読みました。
内容は、とある放蕩息子を改心させるべく、儒者・道士・仏教修行者(空海自身?)が、それぞれ自説を披露し、各々の特徴を明らかにしつつ、最後に仏教修行者が仏教へと進む道をはっきりと示す、という内容です。
青年空海の決意が読み取れるだけでなく、表現形式も、登場人物五人、三幕一場の劇になっていて、わが国最古の戯曲との評価もあるそうです。
本書の前半が現代語訳で、後半に原文の訓(よ)み下し文(振り仮名付き)が掲載されています。いうまでもなく原文は漢文で、全編リズミカルに韻を踏んでいるので、ある意味、これもお経みたいな感じです(お経も元々は釈迦の言行録物語ですし)。
訳者の加藤精一氏は仏教学者(教授)で、父の純隆氏は住職。精一氏が純隆氏の研究をもとにして本書をまとめたので共著としているとの由。巻末には空海の略伝もあります。
空海ファンにはお薦めです。
*以下、関連図書・DVD
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