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2011年6月22日 (水)

放射能知識に関する手頃な近刊本

大震災による原発事故のおかげで、にわかに放射能に関する社会的関心が高まりましたが、うわさは入り乱れ、マスコミや書店には突然に情報が氾濫しはじめました。

つい最近までは災害関連本で「放射能」に関するものと言えば、ほとんど「テロ」に関するものしかなかったような状況ですが(あとは原爆か原発、放射能に関するかなり専門的で地味なものがあったぐらい)、こんな原発の大事故が日本で起きるとは誰も思っていなかったので無理もありません。まあ、日本人全体が平和ボケで危機意識や想像力が欠如していたのかもしれませんが。

それはさておき、近刊では次の本が、価格や内容量も手頃で、ひととおりの関心事項を網羅していると思われたのでご紹介します。

世界一わかりやすい放射能の本当の話 世界一わかりやすい放射能の本当の話 完全対策編
世界一わかりやすい放射能の本当の話 子どもを守る編 放射能から身を守る!! ガイガーカウンターGuideBook

・「世界一わかりやすい放射能の本当の話」(スーパーの雑誌売り場にまであった)
・「同 完全対策編」 

・「同 子どもを守る編」(2011.9/8追加) 
 宝島社 各・税込み500円 
※多くの関連図書からエッセンスをまとめた内容です。

・「放射能から身を守る!! ガイガーカウンターGuideBook」
 ソフトバンク・クリエイティブ 税込み840円
 
※自分で近所の放射線量をガイガーカウンターで調べたくても、そもそも入手が困難ではありますが、何万円も出してどうにか市販品が手に入っても、だいたいロシアやウクライナ、あるいは中国製が多く(性能にも相当ばらつきがあるそうで)、日本語の説明書がありません。そういうときに役に立ちそうな一冊で、とりあえず、予備知識を増やすのにも良いだろうとは思います(ただし製品価格は載っていません)。

※2011.9/8追記:国民生活センターの発表によると安物の中国製等のガイガーカウンターでは放射線の正確な測定値は得難いとのことです。
比較的安価な放射線測定器の性能(2011年9月8日):(独)国民生活センターのHPより

それから、こちらは福島第一原発事故の前の出版ですが、世界の被ばく地(チェルノブイリや米ソの核兵器実験場、東海村など)を実地調査したレポートと、同じ著者の母親のための放射線防護関連の本です。

 世界の放射線被曝地調査 (ブルーバックス) お母さんのための放射線防護知識―チェルノブイリ事故20年間の調査でわかったこと (高田純の放射線防護学入門シリーズ)

・「世界の放射線被曝地調査」 高田純・著 講談社ブルーバックス 税込み1,029円
・「お母さんのための放射線防護知識」―チェルノブイリ事故20年間の調査でわかったこと (高田純の放射線防護学入門シリーズ) 医療科学社 税込み840円

なお、「本当の話」の巻末で紹介されているところによると、”緊急被ばく医療ポケットブック”が、(財)原子力安全研究協会が運営する「緊急被ばく医療研修のホームページ」にて、PDF(無償)で配布されています。医療関係者向けの内容なので、一般人がすぐ利用できるわけではありませんが、放射能事故関連ニュースを理解する予備知識を得るにはいいかもしれません。

*ダウンロードページ → http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/index.html

        Kinkyuhibakuiryoupb_2
 

*参考記事:地震考古学を活用した防災対策について(福島第一原発事故に際して)(2011.3/19)

*以下にも参加しています。

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・・・それにしても、「安全神話」って何なんでしょうかね。「安全第一」とは似て非なる話。戦後の日本は戦争中の人命軽視を反省して、考えうるあらゆる危険を防止する規制を徹底的に張り巡らして「安全第一」でやってきましたが(もっとも、その結果官僚の権限が肥大化していったという側面もある。堺屋太一氏が指摘されていたように思います)、「安全神話」の方は、都合の悪いことは考えない「思考停止」(故・山本七平氏が旧日本軍での体験に関して良く指摘していました)では。

       第三の敗戦 一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)

「原発や飛行機の”事故”の確率は自動車に比べればものすごく低くて、絶対安全」というアレですよね。

原発事故は放射能汚染をともなうし、飛行機事故は大概墜落事故かニアミスのような墜落に直結しかねない事故をいうのであって、回数がどれほど少なくても起きたら社会的重大事故かつ大事件。一方、自動車事故は人身だけでなく物損や接触も事故。しかも社会の普及台数が全然違う。こういう前提条件を無視して、(受験勉強の時にそうしていたように)”事故”という単語だけを独り歩きさせるのが”優秀な”方々の良くやる説明、あるいは統計をテキトーに利用した嘘です。

飛行機の方は、客足と会社経営に直結するので(クルーも乗客と一蓮托生だし)、特に日本や先進国の航空会社の安全性は今では非常に信頼出来るものになりましたが、食の安全問題が頻発した後に、さらに今回の原発事故が起きるとはかえすがえすも残念。

「食品表示偽装」も「安全神話の嘘」も根は同じなんでしょうかね。ついでにいうと、日本の「治安の安全神話」も経済・社会が安定しているごく最近の話で、外国に比べればとか、終戦直後に比べればとか、かなり相対的なものだと思う。戦前は犯罪が少なかったなどということもない。マスコミが未発達でローカルな事件は全国報道されなかっただけのことです。「うちは戸締りもしたことない」とかいう話を聞くと「ほんとかなあ?」と思います。私は四国の田舎でも(地元の有線放送も火の元・戸締り用心を毎日呼び掛けていたぞ)、東京の下町でも、戸締りは必ずするし、自転車にも鍵をかけます。みんなが用心してこそ犯罪を防げるし、「安全神話」にもチェックを入れないと結局事故につながるのだと思います。

千年に一度の地震・津波だったとか、あまり関係ないのでは。なにしろ、日本でも世界でもこれほどの高度工業文明社会が地上に出現したのは人類史上初であって、たとえ100年前と同じ天災でも社会の受ける打撃(被害の態様)は全然違うわけですから。人類は今未知のゾーンに踏み込みました、って感じですね。

・・・ん? インドや各地の神話によれば超古代には、既に核兵器もブラックホール兵器も備えた超文明があったって? そういう話は興味深い。しかし、そうだとすると、その文明は滅んでしまったわけで、もっと暗い話になってしまうのです。というわけで、それはそれ、これはこれ、です。

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