映画「DOG×POLICE(ドッグポリス)」レビュー
※映画「ドッグポリス 純白の絆」パンフレット(税込み600円)
■製作:2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS 監督:七髙剛 出演:市原隼人・戸田梨香・時任三郎・カンニング竹山・他&警備犬 上映時間:104分
*映画『DOG×POLICE ドッグポリス 純白の絆』公式サイト
※「DOG×POLICE」の予告編。
最近は災害救助犬など働く犬への世間の関心が高まっていて、私のブログでも働く犬の記事を見てくれる人が多く、公開初日(2011年10月1日・土曜日)が例によって1,000円均一の映画の日でもあったので、話題の映画「DOG×POLICE」を観てきました。
この映画の原案が、海上保安庁潜水士の活躍を描いた「海猿」の原案者・小森陽一氏で、両方の映画に、”現場指揮官”役で時任三郎氏が出ているので、やはり「海猿」の「警備犬ハンドラー」版という印象が強いです。
本作でも、若いチームのメンバーが、葛藤を抱えつつ一丸となって現場で奮闘します。やや荒削りな話運びですが、爽快な作品です。
見習いハンドラーと出来の悪いバディ犬の成長を描く点では「きな子~見習い警察犬の物語~」と、また、熱血警官が犯人を追い詰めていくところ(と、警察組織内部の軋轢)は「踊る大捜査線」とも共通する雰囲気。
ストーリー展開は、警察組織の「刑事部」と「警備部」の違いや、「警察犬」と「警備犬」の違いが一般にはあまり知られてないので、台詞がやや説明的ではありましたが、展開のテンポがはやいので飽きが来ることはありませんでした。
なお、それぞれの違いを簡単にまとめると…
・刑事部:刑法犯犯罪を捜査するところ。いわゆる”刑事”がいるのがここ。
・警備部:暴動鎮圧、テロ警備など警備活動をするところ。要人警護のSPや機動隊はこちらに所属(外国は暴動専門の警察部隊はあまりないので、いきなり軍隊や憲兵隊が治安出動したりします。戦前の日本もそうです)。
・警察犬:犯罪者の追跡や人の捜索をする犬。
・警備犬:一頭で爆発物捜索や犯人襲撃と制圧、災害救助など複数の任務をこなせるように訓練された犬。
・・・といった感じです。
参考記事:
・働く犬たち―警察犬・警備犬などなど(2011.3/8)
・原作→NHKで映像化→映画化の作品まとめ(2011.5/1)
・12月1日は映画の日(2010.11/27)
追加参考記事:
・”警備犬”&救出ロボットのデモンストレーション(2011.10/22)
「踊る大捜査線」でもそうでしたが、犯人が若造の変質者で(CM 程度のネタバレ。トリックの謎解きはあまりありません)、用意周到で計画的な重大事件を引き起こす割には動機がイマイチで、主役の警官も若くて体力勝負の面があり、両者か、あるいは片方にでも、もう少し”貫禄”があって、話に深みが欲しかったかなという気はします(”貫禄”は今の日本の政治家にも欲しいものの一つですが…)。「ダーティーハリー」とか「スピード」とかみたいに。
当然ですが「コロンボ」とか「古畑任三郎」とは雰囲気は全然違います。犯人を必死で追いかけるところは「太陽にほえろ」と、爆発シーンの多いところや犯人との駆け引きは「ダイ・ハード3」や「サブウェイ123」とちょっと通じるものがあるかと思います。
「警備部」が活躍する話としては、コミック・アニメの「機動警察パトレイバー」があって、「ドッグポリス」の映画の登場人物中、ITが得意な警官の机の上に「レイバー(作中では”汎用作業用ロボット”のこと)」のフィギュアが飾ってあります。「パトレイバー」とはパトロール・レイバーのことで、「警視庁警備部特科車両二課中隊」、通称「特車二課」で装備されていることになってます。ちなみに「特車」とは、その昔、自衛隊創設のころ(当時は警察予備隊→保安隊)、まだ戦時中の記憶が生々しく、軍隊用語がほとんど使えなかったので「戦車」を言い換えていた名称です。
追記:日テレの宣伝特番(10/4深夜)を見て思い出しましたが、TV・映画の「SP 警視庁警備部警護課第四係」も「警備部」の話ですね。こちらはフジテレビですが (^_^)。同じフジ(関西テレビ)の「アンフェア」は警備部ではないです…。映画会社は「ドッグポリス」も「SP」も東宝。「パトレイバー」は日テレ・松竹(コミックは小学館)で、「アンフェア」劇場版は東宝です。…それから、本作は人間と犬の”バディ(相棒)”の話ですが、刑事ドラマで人間同士の「相棒」とも違う雰囲気です (^_^;)。「相棒」はテレ朝(劇場版は東映)で、こうして見てみるとTV各局・映画各社を代表する刑事ドラマがそれぞれあるのが分かりました。
映画の中でハンドラー達が制服につけているワッペンには「K-9 UNIT」と表記されていますが(パンフレットの裏=右側の写真)、ずばり「K-9」という麻薬捜査犬のアメリカ映画がありました。…そういえばTVの「デカワンコ」というのもあったか。
なお、本作では、珍しい警備犬の訓練風景が何回も出てくるのと、SAT(警察の特殊急襲部隊)との合同訓練シーン、液体窒素を利用した爆発物処理シーンがあったりして、こちらも興味深いです。
脚本をもう少し練ってもらいたかった気はしますが、悪くはない出来です。
やる気は満々、能力もあるが、我が強すぎて組織の中で浮いてしまい、なかなか希望通りの部署に行けないのが本作の主人公・早川。”やる気が空回りして、気持ちばかり焦る”ということで、宮仕え(サラリーマン)なら結構共感できる人事の悩みです。しかし、配属先で、めげずにバディ(の犬)や仲間とともに手探りで前進していく姿が力強く、後味の良い作品になっています。
下の写真は、イベントでの警備犬の訓練展示の様子です。
※上写真三枚は警備犬の爆発物検索、犯人襲撃・制圧訓練の展示(東京ビッグサイトで行われた「危機管理産業展2010」で。2010.10/06。今年も10月に開催予定。警備犬のデモンストレーションも予定されています) 。下はこの訓練展示に来ていた警備犬ハンドラーの制服の腕についていた本物の方のワッペン。”Metropolitan Police Department Security Dog”(MPD=首都警察=警視庁/警備犬…直訳ですね (^_^) ) となってます。※
※ちなみに、東京消防庁レスキュー隊のマークにはセントバーナード犬が描かれています(下の写真)。
*危機管理産業展2011のHP
(RISCON TOKYO2011。東京ビッグサイトで10月19~21日。警備犬のデモンストレーションは10月20日の予定。危機管理の関連産業各社が出展。自衛隊・消防等の装備品展示もあり。HPから”事前来場者登録”をすれば入場無料)
作中の犬の主役「シロ」は、ジャーマンシェパードのアルビノ(劣性遺伝)で体力が弱いことになっていますが、実物は白い毛のスイスシェパードで健康に問題はないそうです。他の出演警備犬は全てジャーマンシェパードとのことです。
※警備犬誕生30周年を伝えるテレビ・ニュース ANN NEWS 2010.9/10
ちなみに、盲導犬などもそうですが、”働く犬”が飼い主やハンドラーといるときは通常「仕事中」なので、いくらかわいくても、ペット犬のように第三者がちょっかいを出してはいけないそうです。ご参考まで。
※♪いぬのおまわりさん…本作品とは関係ありません。(^_^);
*以下にも参加しています。
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