キューバをめぐって米ロが綱引き。実は日本をめぐっても…。
今月(2014年12月17日)、アメリカのオバマ大統領が永らく断交状態にあったキューバとの国交正常化交渉を開始すると突然発表して世界を驚かせましたが、早速、ソ連時代からつながりの深いロシアが関係強化を確認する動きを見せて、綱引きをしています。
*米がキューバ政策を転換 近く国交正常化交渉を開始(2014.12/18 47ニュース/共同通信)
*ロシア キューバと関係強化を確認(ロシアのロゴージン副首相が12月19日、キューバの首都ハバナを訪れて、ラウル・カストロ国家評議会議長と会談…2014.12/21 NHKニュース)
かつてのキューバ危機の例を見ても分かるように、アメリカのすぐ隣の島国のキューバが、アメリカか、あるいはそれ以外の大国と仲が良いかで、国際情勢は大きく影響を受けます。
実は、これ、日本にとってもより当てはまることであって、太平洋の西端で中ロの隣にある日本が、アメリカ寄りか、中国あるいはロシアよりになるか、たとえ、日本列島がほとんど無人島ばかりであっても地理的に大きな意味があるのは自明です(「戦略的」に、あるいは、帝国主義時代風に言えば「地政学」的に、というわけ。沖縄だけの話ではありません)。
しかも、現実には日本は1億以上の人口、世界トップレベルの技術力・経済力を持つのだからなおさら。
今現在、日本に米軍基地(特に海・空軍。海軍基地の日本での整備能力の高さを疑う人はいないでしょう)があるおかげで、豪州・NZの同盟国とあわせ、アメリカが太平洋を「内海」のごとく勢力圏にしているのに、これが、日本が再度、敵性国になるか、あるいは敵性国の支配下に入ったら、アメリカの「既得権益」が大きく損なわれ、東南アジアやインド、中東へのアクセスも制限されるし、再び小さなハワイ諸島が最前線ということになり、まるで第2次大戦前に逆戻り。およそ、アメリカが黙って受け入れられる状況ではないでしょう。
中国の軍部が低レベルな「太平洋米中2分割管理論」を持ちだしたことがありますが、まあ、およそ周辺各国に受け入れられる話ではありません。
しかし、逆に言えば、中国やロシアから見ると、日本を仲間(というか支配下)に引き入れれば、東アジアや北西太平洋を自分の「勢力圏」にできるわけで、そのための画策を当然、いろいろやってます。
もちろん、中ロともに、かつての軍国・日本かソ連みたいに、周辺国に対する外交政策そのものが軍事力をチラつかせた「上から目線」で「保護してやるぞ」といった「恫喝」的態度だから、どこともうまくいっていませんが。
いずれにしろ、日本で流行る「アメリカに見捨てられる」式議論とは裏腹に、クール・ジャパンとはまた別の意味で、日本は「モテモテの引っ張りだこ」であって、水面下ではキューバ以上に各国が綱引きしているのではないかと思います。少なくともアメリカは日本を簡単には「手放す」ことはないでしょう(「日本の国内市場」自体も巨大ですしね)。
およそ、硬直した組織と幼稚な思考パターンで、ろくろく情勢分析もうまく立ちまわることも出来ない無能政府を見限ることはあるかもしれませんが(そうなるとCIAの出番ですな。もっとも、秘密の多い「巨大官庁」CIAも一般に言われるほど有能とは限りませんが)。
なにはともあれ、キューバは50年以上もアメリカに経済制裁されつつも、医療や防災体制、教育制度では社会主義の理想を相当実現した国。故に、現状は大きく稼ぎたい人には、やはり向かない社会ですが、将来はベトナムのように「新興国」の仲間入りもあるんじゃないかという気がします。
政治体制は民主化されたほうが良いですが、アメリカの大資本や一部財閥に支配されて庶民が見捨てられるような社会にはなってほしくないものです。
オバマ大統領の残り任期内の実績づくりかもしれませんが、アメリカとキューバ国交正常化関連ニュースを見てつらつらと思ったのでした。
*以下にも参加しています。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント