「オメガ7」!いいね!フィクションの世界では !!
「オメガ7」。小林源文氏のコミックにでてくる自衛隊の架空の特殊部隊で、その活躍の痛快(?)さに、私もファンであります。
しかしながら、同作品を(小林氏の他の作品もですが)、楽しめるのは「現実の」自衛隊(や隊員)のおかれた複雑で微妙な事情を理解し、周辺諸外国の事情も日頃からかなり注意して見ており、かつ、ユーモアやジョークを理解できる洒落のわかる人で、要するにこれは「大人」のマンガだということ。
(ブランド品でギチギチに身を固めたお坊ちゃん・お嬢ちゃま政治家やお受験オタクの”エリート”官僚の事務屋やらにとっては、現場の隊員や、その出身の家庭環境、ろくに仕事もない地方の田舎の現状など、まるで別世界のことでしょうな。日本に限った話ではないが)
「法制度」と「多少の追加訓練」「装備」があれば、簡単に「実現」できると考えるのでは、素人以下というか、中2病というか、一般ビジネスマンもつとまらない(実務は無理ということ)でしょう。
今月(2015年2月12日付)の防衛省共済組合の部内報 「朝雲」(朝雲新聞社:装備年鑑や防衛ハンドブックを出しているところ、の発行。週刊。なお、月刊の「自衛隊スポーツ」というのもある)のコラム「朝雲寸言」で、今国会における「自衛隊に人質救出任務をさせる」かのような議論があったことを批判的に取り上げていて、一部で話題になりました。
ちなみに、「朝雲」は実質的な自衛隊の機関紙…というより、“社内報”的な感じで、訓練・演習や式典の記事は華々しいですが、その他の内容は、時事問題解説や隊員の生活関連情報、所感文など、某“一般紙”などよりも、よほど常識的な内容です。
*自衛隊の機関紙が安倍首相の非現実的安全保障政策を批判!「人質救出に自衛隊」は無責任と(Business Journal 2015.02/18)
*自衛隊機関紙までも批判する安倍首相「安保法制」のお粗末 (日刊ゲンダイ 2015.2/19)
*日刊スポーツのコラム「政界地獄耳」(2015.02/19付)、スポニチのコラム「政界ヒソヒソ話」でも取り上げられてました(2015.2/18付)。共同通信でも配信されたようです。
(“政府寄り”の“一般”新聞ではこの件をニュースにしなかったようですが、危険地帯に出向くフリー・ジャーナリストには大々的に「自己責任」論を持ち出すのに、一方で、自衛隊にはやみくもに危険地帯に出動せよ、というのかな? それで、オタクの記者は安全地帯で主張するだけで取材はしないの?)
最近は、自衛隊でもレンジャー訓練修了者等を集めた「特殊部隊」がいろいろ編成されるようになり、これらの部隊は、「国内の有事(日本が武力侵攻を受けた場合やハイジャックなど大規模テロ事件があったりした場合で、警察や海保の部隊では対応できない場合)」や、海外でも「拠点警備」、「大規模戦乱や災害時の現地邦人の退避・輸送(“人質救出作戦”ではありません)」などの任務では、その実力をいかんなく発揮するものと思われます。
が、勝手わからぬ外国で、テロリストが支配する地域から人質を奪還するなど、どこの国であっても至難の業です。現実に情報収集や実働部隊で万全を期している米軍ですら、失敗続きです(在イラン・アメリカ大使館人質事件など。手本にするなら英国のSASかな…)。
いや、たとえ救出には成功しても、現地の戦闘で民間人を死傷させた場合、映画の「英雄の条件」のように隊員が交戦規則違反で訴追されるような悲劇もないとは言えません。
テロリストの支配地域では現地の民間人が脅迫されて協力させられている可能性極めて大です(今話題の映画、「アメリカン・スナイパー」にもそういった描写があるようです)。また、当然ながら人質にも隊員にも死傷者やPTSDを発症する人が出る可能性は大きいのです。
最悪の場合は、というより、こちらの可能性の方がはるかに高い。
なお、遺族や傷病者への対応は「福祉政策」の分野になるが、今の日本のお勇ましい方々がそこまで考えたことがあるとは、とても思えないですね。「英霊」となられた方々は何も言わないですけれど。
※Rules of Engagement(英雄の条件) - Trailer
※映画『アメリカン・スナイパー』特別動画
総合的な安全保障や外交政策のカードとして、自衛隊に関係する態勢整備や政策を検討するならわかりますが「自衛隊」(や軍隊)を万能のように「信仰」するのは、これこそ本当の「平和ボケ」。「積極的」というより、「非武装中立」なみに「空想的」。政治家でなくても社会人としての資質を疑いますね。それとも、アメリカの一部の人のように「戦争中毒」になりたいのか? 島国の日本がアメリカをマネたら再び亡国ですな。アメリカは「唯一の超大国」であって「普通の国」ではないので。
(アメリカは、外国で戦争すれば安全な”島大陸”内で肥大化した軍需産業・軍産複合体が継続的に利益を得られる構造がある。日本政府の支出が彼らを儲けさせてるうちは「国際的軍事活動にも付き合え付き合え」と言ってくるでしょうが、共同開発以外の武器ビジネスなどで利害が対立したら、またぞろ困ったことが色々おきるでしょうね。F2開発の時みたいに。ビジネス音痴のわがソーリやお友達はそこまで知恵が回ってるのかな?)
ISILの人質事件では誠に残念な結果になりましたが、現在の、政府にも政治家にも、ろくな情報収集・分析能力も交渉能力もない状態で(そもそも人材育成態勢がない)、ハリウッドの3流アクション映画みたいな勇ましい発言を繰り返し(アメリカの「愛国映画」に「マインド・コントロール」されてるのでは?)、国内の議論を締め付ける一方で、自衛隊員や日本人全体を無用なリスクにさらすことはやめてもらいたいものです。
「テロリストとは交渉しない」は結構。しかし、「交渉しない」と宣言して、本当に一切、チャンネルを自分で閉じてしまって裏でも交渉しないで、自分自身を追い詰めていくのは世界でも日本政府くらい(まるで「12歳の優等生」。「普通の国」を標榜する割にはかわってますな。これなら、官房機密費も秘密保護法も無用なんじゃないの?何に使ってるんだ?)。昔も今も。
日本人同士ではお得意の「本音と建前」「根回し」などは国際社会の現場でこそ必要だと思うのですが。映画やネットの書き込みばっかり見てないで仕事してくださいよ。センセイとお役人様。
(ほとんどの国民はネット利用はしても「書き込み」などしません。自分の「応援団」が匿名で一人何役もやって書き込んだのを「草の根世論」だと勘違いしていませんか? 街のお店だって「応援する」のも「苦情をいう」人も全顧客のごく一部。特に「苦情」に関しては、クレーマーは別にして、ほとんどの顧客は口に出したりはしません。次回から二度と利用しなくなるだけです。役所や政府の人間ではピンと来ないでしょうが、競合相手が常に存在するビジネスの世界ではこれ常識。選挙等で例えれば、普段全く声をあげない有権者も、投票行動で意思を示す、ってことです。センセイ)
※こんなのもある。
※Lone Survivor(ローン・サバイバー)- Trailer (2013)
*↓特殊部隊ではないですが、何事につけ日本が参考にするドイツの事例の映画。アフガニスタンに派遣されたドイツ連邦軍部隊の苦悩の話「クロッシング・ウォー」。昨年(2014年)に一部で公開され、「朝雲」でもとりあげられてました。
※アフガニスタンに赴任したドイツ人の兵士が直面する現実!映画『クロッシング・ウォー 決断の瞬間(とき)』予告編
映画やテレビ、訓練などとは違って、現実世界では、一旦「状況」を開始したら、簡単には終わらないのです。その辺りは誰しもよく考えないといかんですね。
ちなみに、自衛隊の「専門紙」には「防衛ホーム」というのもあります。HPでも特集記事の紙面がPDFで見られます。
*以下にも参加しています。
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