地道な調査報道…がんばるメディア
最近は何かと批判にさらされることも多いメディア業界ですが、やはり社会に必要なものの一つで、有名なところでは、アメリカのカリフォルニア州の小さな町・ベルでは、地元新聞が1998年になくなって、行政や議会を日頃から見る人が誰もいなくなり、それから十数年のうちに、行政官や議員報酬が市民が気づかない間に10倍以上になっていた、という話があるそうです。
最近話題のところでは、富山市議会の議員報酬アップの決議から火がついて、地元紙の「北日本新聞」や地元テレビ局(チューリップテレビなど)の地道な調査報道の結果、ついに明るみに出た政務活動費や政党交付金の不透明処理事件があります。
情報公開請求で得られた膨大な書類を記者さんが丹念に調べている様子をテレビなどで見ましたが、その様子は、映画「スポットライト・世紀のスクープ」で描かれていたボストンの地元紙の取材チームの調査活動の模様(神父の人事異動記録などを細かくあたって、教会の不祥事を追跡)を彷彿とさせるもので、チームによる取材の力を実感しました。
いうまでもなく、この政務活動費等関連事件の衝撃は全国に広がって、「ウチのとこはどうなってるんだ?」「やっぱり情報公開は重要」という意識が高まっています。
また、最近、賄賂事件や不倫問題など、スクープの多い「週刊文春」の「スクープの秘訣」をネットなどで読んだことがありますが、それも結局「日頃からの地道な人間関係づくりと裏付け取材」というものでした。
ちなみに、いま政治的実績や政治力で人気再燃の田中元首相が、現役時代に退陣に追い込まれた「ロッキード事件」発覚の発端になったのは月刊「文藝春秋」に掲載された立花隆氏の「田中角栄研究」でした。
この他、調査報道によるスクープでは、「毎日新聞」の「旧石器捏造事件」報道も思い出されるし、小説・映画「クライマーズ・ハイ」のモデルになった日航機123便墜落事故当時の群馬県の地元紙「上毛新聞」記者の困難な取材活動、スクープとは違いますが、阪神・淡路大震災の時の「神戸新聞」、東日本大震災のときに手書きの新聞を被災者に届けた「石巻日日新聞」など、本社が被災しても災害に負けずに読者に情報を届ける姿は見る方も力強く感じます。
いろいろな社会問題に取り組んで、地道な活動を継続している人は、個人や弁護士、市民グループなどもありますが、調査活動には人手も費用も時間もかかり、困難な作業のうえ、圧力がかかることもあります。しかも、一般の市民では情報発信力が弱いので、支援者が得られなかったりして更に大変です。逆に言えば、調査・言論活動は色々大変だからこそ議員さんには政務活動費が税金から支給されてるわけで、それを杜撰に扱われては国民は困ります。
そういうわけで、やはり、三権の活動のチェックや社会問題の掘り起こしは、今後もマスコミの皆さんにもがんばって欲しいと再認識する今日このごろでした。
参考記事 :
・重力波より「うどん値上げ」ニュース…地元紙の役割(2016.2/16)
・マイケル・キートンの新聞記者(2016.6/25)
*以下にも参加しています。
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