まるごと一冊「井上円了」。
明治日本の「妖怪博士」にして、「余資なく優暇なき者のために教育の機会を開放する」「諸学の基礎は哲学にあり」の東洋大学設立の学祖・井上円了先生の本が出ていました。
今までも学術書などではときどき出版がありましたが(あと、NHKの「歴史秘話ヒストリア」での紹介など、たまにテレビ番組で取り上げられたり、雑誌の哲学やミステリーの特集で紹介されたりすることはありました)、講談社というメジャーな出版社からまるごと一冊、読みやすい形での本が出たのは珍しいです。
「妖怪博士」といっても、世の中の不思議現象はほとんど迷信か見間違いであり、本当に不思議なことはめったに無いということを科学的に説明しようとした方です。また、「哲学」の重要性を日本で早い時期から説いた点でも先駆的な活躍をしました。なお、今年(2019年)は円了先生没後100周年にあたります。
※『井上円了 「哲学する心」の軌跡とこれから』(講談社・税込990円)
本書内には、水木しげる先生が描いた伝記漫画シリーズ「神秘家列伝 其の参」(角川文庫)に収録された円了先生のエピソードをまるごと収録。こちらも興味深いです。
※【東洋大学創立者】旅する哲学者 井上円了
※ぶんきょう人物伝 井上円了(東京・文京区)
※神秘家列伝 其ノ参 (角川文庫)…(同じ本に入っているのが、出口王仁三郎、役小角、平田篤胤というなかなかの顔ぶれ。なお、表紙の人物が円了先生)
思うに、大学間学生獲得競争の厳しい昨今、東洋大学と講談社コラボのPR本ではないかという気がしなくもないですが、それは置いといても、なかなか充実した内容だと思います。
*以下にも参加しています。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 一般人も利用可能な公開データ調査ガイド:「記者のためのオープンデータ活用ハンドブック」。(2023.06.19)
- 民法大改正の時代に。「新しい民法がわかる本」。(2023.05.14)
- 終戦当時の労苦を偲ぶ夏(2022.08.01)
- ゴロウニン著「日本幽囚記」発見記。(2022.02.18)
- うろ覚えで人に尋ねる前に「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」(2021.12.01)
コメント