たまにはいいことがある。行政書士試験に合格!
お陰様で、令和4年度の行政書士試験に合格できました。
何回目の挑戦かは…秘密です!(^^;)ゞ なお独学であります。
この資格だけで開業してやっていくのは厳しいかと思いますが、それでも国家試験に合格できたというのは嬉しいです。
(司法試験は別格として、行政書士資格を持っている人、特に開業する人は、あともっと難関の司法書士とか、不動産系の宅建、FP:ファイナンシャル・プランナーの資格なども取得している人が多いようです)
行政書士試験は、試験科目が、法律系が、憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法中心)、民法、商法・会社法及び基礎法学で、一般知識が、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解といった内容です。
(「行政書士法」などは試験科目にないので、実務に直結する法律等は合格してからさらに勉強ということになります)
この試験は、受験資格にほとんど制限がなく(年齢も国籍も学歴も受験履歴も関係ありませんが、試験問題は日本語だけです)、試験に挑戦するだけでも、憲法をはじめ、法律の基礎的な分野と、政治経済・現代社会の一般教養の学習を一通りすることになり、また、行政(関連)法を学習しておくと、国が関係する訴訟のニュースの理解が深まるので、一回くらいは挑戦してみる価値はあるのではないかと思います。受験料はかかりますが…(令和4年度は10,400円。受験料が年々上昇してついに1万円を超えました。またTOEICなどと違い、年に一回・11月の第2日曜日にしか試験がないです)。
(国家資格は別にいらないが、とりあえず仕事関係の法律を勉強したことを証明したい人には、ビジネス実務法務検定とか法学検定というのもあります。仕事している人には前者がおすすめ。ビジ法は1~3級があり、3級は一般常識程度、2級で大学の法学部知識+α程度、1級は論文式で民間資格にしてはかなり難関です。ビジ法は民間資格で「法律知識の普及」に重点がおかれていますので、「国家資格を与えてもいいかどうか」を見るために「ふるい落とす」ための国家資格と違って、基礎知識とテキストと過去問を一通りやれば2・3級は比較的合格しやすいでしょう。大学によってはビジ法3級取得を在学中に義務付けるようなところもあるようです)
(ちなみに私も一応難関でない私大の法学部卒で、それもあって憲法や民法を含む行政書士試験を受けてみたのですが、何しろ学生時代は大昔の昭和のころで記憶も薄れているし、当時は民法もまだ現代語化されてなく漢字・カナの文語体だったし、今の行政書士試験に出る行政関連法などはあまり存在もしてなかったしで、自分に関しては、法学部卒の経験は法律用語に馴染みがあるという以外は試験と直接は関係なかったです。逆に、現代では今まで法律に馴染みのなかった人でも、法律は現代語化されているし、分かりやすい法律入門解説書が数多く出ているので、行政書士やビジ法試験では法学部卒と比べてそれほどハンデがあるわけではないと思います)
行書試験には、世間の人の関心が高い刑法・刑訴法はないのですが、それは基礎法学などでたまに出るので、市販のテキストや過去問集にはちょこっとは載ってます。
(日本人が法律=刑法と考えるのは、東アジアの国々は概ね昔は中国発祥の律令体制で、律=刑法・令=行政法で、民法・商法系はながらく慣習によっていたので、その名残だろうとどこかで読みました。今でも日本の商取引では商法・商慣習・民法の順で適用され、確立した商慣習は民法よりも上。さらに、日本の法律は明治に近代法を輸入したとき、また敗戦後いろいろ混乱した中で大急ぎで体裁を繕ったので、欧米に比べ条文数自体少ないということです。欧州方面では法律といえばローマ法=市民法・万民法以来、ナポレオン法典をはじめ民法が主役とのこと。もっとも、公法・判例法が主体の英米とか、ゲルマン慣習法をやめて近代に体系の整ったローマ法系を採用したが、いろいろ齟齬が発生しているらしいドイツとか、一口に欧米といっても各国でいろいろ事情があるようです。ちなみに、最近は、日本の海外協力の一つとして東・東南アジアなどの国々の法体系整備への協力も行われているそうです)
ただ、合格を目指すとなると、司法試験改革のあおりを受けたり(平成になってから司法試験の制度が大きく変わり、新司法試験が平成18・2006年から開始されましたが、同年には行政書士試験の制度も一般教養から法律科目重視に大きく変わりました。また、その後は、司法試験が厳しかった人が司法書士や行政書士を受けに来ることもあるようです)、行政機関に提出する文書が簡略化されたり、ビジネス現場のIT化などで行政書士に頼まなくてもできるものが増えたこともあって、大昔の代書業から「街の法律相談家」的な役割をもとめられるようになり、最近は難しくなりました。
全60問・300点満点の6割・180点が合格点となっていて、民法・行政法が最重要ですが、憲法や商法の割合も高く、会社法などは条文を読んでいるだけで目がクラクラしそうです(会社組織とか株式の種類とか…)。憲法は最近注目判例がいろいろ出るし、行政法は条文をそのまま覚える必要があるものが多いし、地方自治法も範囲が広範。民法(総則・物権・債権・親族・相続の各法)はもともと範囲が広い上に民訴法なども関わってくるし、最近は相続とか成人年齢とか共有とか改正されることが多くて改正・施行をチェックするだけで一苦労です。また、「基礎」法学といっても、基礎的なものだけでなく、法歴史学みたいなのまで出題されて、面喰らいます。
さらに強敵なのが「一般知識」で、政治経済分野がメインと言いたいところですが、時事問題も文化ニュースもIT関係もでてきて(令和4年は国際問題が多数でした)、何が出題されるか全く予測不能。ところが、これが14問もあるのに6問以上正答しないと法律科目が満点でも「足切り」になるというおそろしい代物です。とはいえ、あくまで試験自体は法律科目がメインなので、結局は、一般知識はテキストの他、新聞を普通に毎日読むとか、公務員試験の一般教養か時事問題のテキスト、月刊新聞ダイジェストの別冊時事用語&問題などに目を通すしかないのでした。もっとも、文章理解の問題に関しては、公務員試験の同様の問題と非常によく似ているので練習になります。なお、設問の素材は概ね評論文(◯◯新書に多い分野)です。
また、300点中、60点(20点×3問・民法2・行政法1)はマークシートでなく記述式で、40字程度のもので論文ではないし、模範解答を見てみると極めて基礎的な内容なのですが、問題が長文の事例問題で読み解くのが大変なうえ、部分点があるのですが、その採点基準がどうもよく分からないという難儀なもの。採点というより得点分布調整のための配点に使っているのでは?とまで僻んでしまうほどよく分からんのです。
というわけで、まずは、300点の6割ではなく、マークシート部分240点だけの8割・192点以上を目指す方が現実的かなと思います。
記述式は白紙ではもちろん駄目ですが、3問とも何がしか記入しておけば3問合わせて最低点4点はもらえます。しかし、かなり模範解答に近くても点がなかったり、相当ピント外れなはずなのに、30点もついていたり、採点基準が本当によく分かりません。
記述式も含め、行政法と民法が最重要で憲法(行政法に直結もする)も捨てられないので、時間がなければ商法・会社法を捨てるという勉強方針をよく聞きますが、設問数は商法・会社法も憲法並みに多いので、採点基準不明の記述式よりは商法・会社法を過去問等で優先して基礎を固めたほうが良いような気がします。もっとも、明らかな超難問(見たこともない企業法務用語がでてくる)のは諦めていい「捨て問」だろうとは思います(しかし、マークシートはどこか塗っときましょう)。
お金を払って資格の学校に通えば、もちろん試験指導をしてもらえますが、独学の場合は、分厚いテキストを2~3回以上は通読し、あとは過去問集を地道にやるしかありません(法律が毎年改正されるので、テキストや過去問集は古本がほとんど使えません。改正に対応して内容を修正した最新版が必要になるので結構書籍代だけでも数万円くらいになってキツイです。しかも、読み込み専用で書き込みゼロのきれいな状態で使用後にブック・オフなどに売っても自販機用の小遣い程度の金額。泣けてきます(;_;)。なお、結構誤植が多いので発行元のHPで確認しましょう)。
「これだけで合格を~」と謳っている対策本は本当に短期集中で100%理解・記憶できれば合格点に届くのだろうとは思いますが、実際は勉強した何割かしか頭に残らないのが普通でしょうから、テキストについては、内容は詳しいものの方がいいと思います(「これだけ本」は試験直前の復習用にいいです)。
法律の勉強は、試験用テキストのほか、六法と判例集を片手に持って、両方対照しながらというのが王道ですが、大学の法学部生ならともかく、社会人は時間も限られるので、試験用テキストは、主要条文と有名判例の主要部分(たいてい有名なフレーズがあって、それが試験に頻出)が別冊ではなく本文内に掲載されているものを選んで、それを何回も読んで覚えてしまうのが効率的です。
(もっとも、試験用の六法と判例集はもちろんあった方がないよりはずっといいです。特に六法は。)
また、「スタート~」「最初の~」という初学者入門用の、試験用テキスト本体の抜粋版がありますが、試験を受けるなら結局テキストくらいは全部読んでおかないといけないので、これは飛ばしてもいいと思います。法律初学者であれば、テキストの前段階では、一般向けの法律入門書を読んでおいたほうが効率的だと思います。
この他、資格学校が、主要講義や条文朗読・解説動画を結構無料でYoutubeなどにアップしているので、これも活用の価値アリです。もちろん、講義がすべて揃った有料のコースもあります。
私は使いませんでしたが、資格学校が模擬試験を開催しているので、試験場の雰囲気や時間配分に慣れるために受けておくのも、ぶっつけ本番で受験するよりはミス防止等に役立つと思います(有料ですが)。
行政書士試験は、大昔、昭和の頃は3ヶ月(300時間くらい?)の集中勉強で合格できると言われた時期もあったようですが、平成後半・令和の今となってはだいたい1000時間ぐらいの勉強が合格までの相場のようで、私も時間単位で全部合計すればだいたいこの時間です(複数年をまたいでいます)。
仕事しながらではやはり体力的にも時間的にも厳しいし、中年にもなって歳を取ってくると記憶力もいまいちだし(といってもやれば意外に覚えている)、目は疲れるし、運動不足で健康も不安になってきます。勉強した期間がコロナ禍でどこにも出かけられない時期と重なっていたとはいえ、やはり、資格は若い時とか、勉強に集中できる学生時代などの時期にとっておくのが得策だと、しみじみ感じた今回の資格試験受験でした。
参考記事 : 不眠症に最適!?法律のお勉強。(2020.1/16)
行政書士は、試験に合格した人のほか、兼業が許されている弁護士や公認会計士、弁理士、税理士の資格の士業者や、公務員を20年(高卒以上で17年)務めた人も資格をとれる者になれます。そういうわけで、登録者・試験合格者・資格取得可能者を合わせると結構な数になりますが、定年公務員などで登録だけの開店休業状態の方と、最初から独立開業を目指していた方とは仕事ぶりや収入もぜんぜん違うようですので、平均とか中央値がよく分からない士業でもある、らしいです。どうしたもんでしょう?
*以下にも参加しています。
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