民法大改正の時代に。「新しい民法がわかる本」。
「六法」(憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)のうち、一般国民にもっとも身近な法律が民法。
我が国では憲法がもう70年以上も改正されていないとかよく話題になりますが(といっても、条文数自体が欧米の憲法に比べてざっくり半分ほど。だから解釈や運用をかなりしばしば変えている)、それをいえば、民法や刑法なども、基本、明治時代のものを100年以上の長きにわたって使っているのです。
もちろん、戦後に新憲法になったときに、新憲法の規定にそぐわない条文は改正(民法の家族法関係)、削除(刑法の一部)されたりしましたが、民法や刑法の大部分は、21世紀になるまで漢字・カタカナの文語体のままだったし、民法の財産法(物権・債権関係)などはほとんど改正されてきませんでした。
それが、21世紀に入り、民法の場合、2004年には条文が現代語化され、2017年には債権関係の大改正(2020年施行)が行われ、最近は成人年齢が引き下げられたり、児童虐待の問題から親の懲戒権規定が削除されたり、高齢化社会の進展で相続関連規定が見直されたり、空き家問題に対応して共有関係の規定が見直されたりと、昭和の頃には考えられないような大幅改正が続々と行われています。それも、ニュースでも常時話題になる生活に密着した分野ばかりです。
このような改正を逐一追いかけるのは非常に面倒なのですが、ここ20年ほどの改正をわかりやすくまとめた現状では最新(奥付では2023年4月20日発行)の本が出ていたのでご紹介です。
新しい民法がわかる本 全条文付 太田 雅幸
民法のポイントを103に分けて解説してあるほか、民法の主要改正時期と項目の一覧があり、巻末に民法の全条文もあって、価格も1500円+税と手頃です。
なお、必要か関心があって、購入する場合は、同名や似た名前の本が古いものも含めて他に何冊もあるのと、入門書・専門書ともに他にも良い本がたくさんありますので、その点はご注意ください。
*以下にも参加しています。
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