置き去りなし!「だれでも防災」
日本は災害の多い国です。地震・火山噴火・津波・台風・集中豪雨・土砂崩れ・高潮・河川氾濫・洪水・竜巻・熱波・寒波・豪雪・熊などの獣害、また原発や工場の事故にテロ、そして感染病のパンデミックなどなど、砂漠化以外の殆ど全部の天災・人災が起きます。現代においては、幸いにして、経済社会が安定し、治安自体は良好ですが、かわりに少子高齢化が進展しています。
こうした状況ではありますが、日本では災害があまりにも多いために、被災者が我慢するのは当たり前だという風潮が根強く残り、トイレも水も不足した、不衛生でプライバシーのない避難所で何ヶ月も過ごすという状況がいつも見られます。結果、高齢者や持病の有る方が災害関連死でなくなり、女性や子供が犯罪に巻き込まれる事例が後を絶たず、諸外国の被災者支援態勢に比べても遅れを取り、国際的にも問題視されるようになってきました。
こうした状況を改善するために大いに参考になりそうなのが本書「だれでも防災」で、要するに、高齢者・病気の人・子供・女性・外国人などなど、いわゆる「災害弱者」と言われてきた人々をメインの対象にした防災対策が紹介されています。
「だれでも防災 決定版 避難が難しい人のための一冊 鍵屋 一」(中央法規出版)
いまや日本は既に超高齢化社会であって、被災者は高齢者の方が多数派になる時代ですから、「災害弱者」の方を「標準」として、「非常時だから我慢」でなく「非常時だからこそしっかり支援」すべきです。当然ながら、この方が成人健常者も快適だし、被災者の社会復帰、ひいては災害後の経済復旧・復興も早く進みます。企業のBCP(非常時の事業継続計画)同様、社会全体でもこうした体制を整え、社会全体で発想の転換が必要な時期です。その分かりやすい参考書になりそうな内容です。
石破総理の退陣で「防災庁」がどうなっていくかわかりませんが、日本政府もようやく2024年から、災害時の避難所の設置基準(ガイドライン)に「スフィア基準」(「人道憲章と人道対応に関する最低基準」)を採用を決定したとのこと。昨今、災害はますます激甚化していますから、日頃の備えはますます重要です。備えましょう、常に。平時の余裕のある時から。
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